ホーム>記事一覧>子どもたちの日々頑張る姿を見つけ、表彰状というカタチでたくさんの「ほめる」機会を創る、学校先生にインタビュー
インタビュー
インタビューのきっかけ
ササガワ社員から賞状を集めた「社員の賞状集めてみたイベント」を開催し、印象に残った賞状をピックアップして10個の賞をもうけ、それぞれ表彰した。その一つが「ほめ上手な先生で賞」である。さまざまなデザインで「元気にあいさつ」や「美しい姿勢」、「授業での挙手」を褒めている内容などユニークな賞状だ。そんな賞状を渡している先生がどんな想いで活動されているのかを知りたくて、インタビューすることにした。
賞状を渡すきっかけは“全員に挨拶を返して欲しい”から
教員を目指した理由
市川映葉(いちかわ あきは)先生は、松原市立松原西小学校に勤務する今年6年目の教員だ。昨年まで松原小学校で勤め、クラスを持ったのは去年から。
市川先生が小学校の教員を目指すようになったのは、小学校の時から先生に憧れていたからだ。
「小学校の時の先生のことが好きやったんです。人との関わりって良いなって思ったのがきっかけですかね」
賞状を渡すきっかけ
そんな想いを抱き憧れの教員となって初めて持ったクラスで、さっそく賞状を渡す活動を行うことになった。
「クラスを持った時に、私が一番に教室に来てクラスの子どもたち全員に挨拶や声掛けをしていたんです。でもその時に挨拶を返してくれる子と、返してくれない子がいたんですよ。なので全員にちゃんと挨拶を返して欲しいなと思って」
そんな時、同じ学年のもう一人の先生から賞状を渡す活動を教えてもらったという。
「よく挨拶ができている子を褒めていたら、他の子にも挨拶が広がっていくかな」
そうして挨拶の賞状を渡すようになった。
子ども自身の良さを知らせたい、みんなに広めたい
市川先生の想い
挨拶をしてもらいたい、から始まった賞状を渡す活動。活動を続けた市川先生の想いを聞いてみた。
すると、賞状活動を教えてくれた先生が語っていた想いを、まず話してくれた。
「子どもというのは周りが見えないところがあるから、お友達の良いところは知らせないとなかなか気付いてもらえない。だから子どもの頑張りを伝えたいし、皆で祝いたい。そういう話がありました」
その先生の話に共感した市川先生自身の想いも語ってくれた。
「自分の良いところってあまり人に言ってもらえないと思うんですよね。自分でも気付かへんし、だからといって友達にも言ってもらえるわけじゃないから、なかなか自分の良さに気付きづらいんですよね。私はあえて探してあげようという事でやっていました」
子ども自身が自分では気付きづらい自分の良いところ、見えていない友達の良いところを伝えてみんなで祝いたいという想いで活動をしていたという。
良いところの見つけ方
「子どもを見る時に、なかなか良いところが見えにくい子もいるんですけど、その子でも頑張っているところがあるっていう視点では見ています」
少しでも良いところを見つけて褒めていた市川先生。賞状は挨拶を褒める内容の他にも、学習への頑張り度や取り組む姿勢の良さ、お手伝いや声掛けがよくできているなど、さまざまな内容を作っていたという。
「クラス34名に対し、1人1学期に2枚は渡したいという目標がありました。頑張っている子は本当に頑張っているので、貰える賞状の枚数は、児童によって多少違っていました。良いところがなかなか見えにくい子もいましたが、見つけることが苦というわけでは無かったですね」
子どもの頑張っている姿勢を積極的に見つけていたからこそ、いろいろな内容の賞状を作ることができたのだろう。
手作りしているという賞状の作成について
「データは元々貰っていたんですけど、文章はちょっと変えていましたね。デザインも普段渡しているものと、行事のものとで変えていました。1学期はこのパターンで、2学期はまた違うパターンといった感じで。子どもたちが何枚も貰っているから、同じじゃない方が良いかな、って思って作っていました」
文章やデザインにまでこだわって作っていた賞状について、
「みんなに気付いてもらえない、それぞれの良いところを広めていけるっていう良さで、賞状という形を活用しています」
と賞状を使う良さを語った。
子どもの意欲に繋がると実感
子どもたちの反応
賞状を渡す活動をして、子どもたちへの効果や、周りの人の反響についても聞いてみた。
「効果はありましたよ。やっぱり1番は子どもたちが自分に自信がつく。」
「みんなの前で発表するから、みんなから拍手を貰えて嬉しいみたいな、認めてくれているんやみたいな。本当に自分が頑張ったというところを見てくれているっていうので、枚数は違うけど、それでも喜んでいましたね」
子どもにとって自分の頑張りを認めてもらえることで、大きな喜びになるということを改めて感じたというエピソードを話してくれた。
「なかなか賞状が貰えない子がいたんですけど、学期の最後の頃その子に賞状を贈ったら、泣いていましたね。やっと私貰えた!みたいな感じで。職員室の先生にも見せて喜んでいましたね。それだけ嬉しいんや!って思いました。」
また賞状の枚数を数えている子もいたという。賞状を貰うことが子どもたちのモチベーションに繋がっていたのだろう。
賞状を渡そうというきっかけになった挨拶についても話してくれた。
「貰った子が伸びているなっていう実感はありました。その次の日も頑張ってくれているんやなって。ちょっと意欲のプラスにはなったかな、とは思います」
家庭での効果
今回インタビューのきっかけとなった当社社員の息子さんについても、成長を感じられたと言う。
「元々すごく頑張り屋さんなんですけど、やっぱり伸びましたね。挨拶も毎日してくれたし、声も良かった」
「お姉ちゃん達がスポーツをやっていて、そこで賞状をいっぱい貰っているなか、自分はそこではなかなかな伸びないところがあったそうで、学校でこうして貰ってきて、自分も貰えた!ってめっちゃ喜んでいます、と言っていましたね」
とお母さんから家での様子も聞けたそうだ。
「子どもたちが家に帰っておうちの人に言っているのも、おうちの人が、子どもたちがこんなこと頑張っているんやな、って目に見えてわかる、そういうのも良いかな」
形にすることで、家に持って帰って家族にも伝えることができるのが、賞状を活用する良いとこだと言う。
「やっぱり残してくれていますもんね。こうやって。」
先生の手ごたえ
賞状を渡す活動を通して
「手段として賞状は、意欲に繋がるっていうのは実践していて思いました」
と先生は気付いたそうだ。
子どもの良いところ広めていく活動は続けていきたい
今後の展望
今後も賞状を渡す活動は続けていくか聞いてみた。
「表彰状だけでなくて、子どもたちのなかなか気付いてもらえない良いところを広めていくっていうのは、これからもずっとやっていきたいなとは思っています。」
それぞれの子どもに合ったやり方がいろいろあり、現在のクラスではまだやっていないとのことだが、クラス全体の雰囲気が出来上がってきたら、またやりたいと話してくれた。
大人でも自分の頑張りを周りの人から認めてもらえるのは、嬉しいことだ。
言葉ではなく、賞状という形になるというのが子どもたちのモチベーションに繋がっていくのだろう。
ほめ上手な先生を表彰してみた
サプライズ!表彰式
今回、子どもの頑張る姿を見つけて賞状という形で褒めるという素晴らしい活動を行う市川先生に対して、我々からサプライズで賞状を贈ってみた。
表彰したいことを先生に伝えると、嬉しい!と喜んでくれ、せっかくだからと隣の職員室にいた校長先生を呼んできてくれた。
表彰式として賞状の読み上げを始めると、市川先生は微笑みながら賞状の内容をしっかり聞いてくれ、校長先生はその表彰式の様子を写真撮影していた。校長先生はさらに写真撮影をしながら、表彰式のBGMを歌ってくれ、素敵な表彰式となった。
市川先生、校長先生共にお渡しした賞状をじっくりと眺めてくれた。
お渡しした賞状は、文字の色を黒ではなく、えんじ色にし、より華やかさを出してみたところ、お2人とも、きれい!という感想をくれた。
賞状用紙を挟んだ証書ファイルについても
「ありがとうございます。良いのに入れてもらえて」
と喜んでもらえた。
校長先生も
「凄いな!うらやましいな」
と言葉を漏らし、
「ね。貰いたいですよね校長先生も」
と市川先生も続け、楽しい会話が交わされた。
その後呼んできてくれた教頭先生も市川先生にお渡しした賞状を一緒になって喜んでくれていた。
インタビューをしてみて
市川先生とお話しさせていただき、子どもたちの良いところを褒めてあげたい、頑張りを認めてあげたい、そしてそれらを皆にも知らせたい、という賞状を贈る側の先生の強い気持ちを知ることができた。
また頑張りを認めてあげることが、子どもたちの自信やモチベーションに繋がっているということを、先生と子どもたちのエピソードからも深く理解することができた。
全ての賞状には1枚1枚にこうした贈る人の想いがこもっていて、受け取った人のさらなる成長に繋がっているのかもしれない。
我々も先生への表彰式をしてみて、先生の活動が素晴らしいということを本人に伝えることができ、本人とその周りの人たちが喜んでくれているという空間が、とても素敵だと感じることができた。
賞状を通して、子どものことを褒める・認める、そして高めるという先生の素晴らしい活動を今後も応援していきたい。
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