調べてみた
「社員の賞状を集めてみたイベント」で集まった賞状を見ていると、賞状の表題に「賞状」と書かれているものと、「表彰状」と書かれているものがあることに気が付きました。
調べてみると、全485枚のうち「賞状」が131枚、「表彰状」が71枚ありました。「表彰状」と「賞状」ではいったいどんな違いがあるのでしょうか?
今回は「賞状」と「表彰状」の意味の違いから、一般的な区別を調べ、実際の賞状についても分析していきます。
一見どちらも同じように見える賞状ですが、「賞状」と書かれているものと「表彰状」と書かれているものがあります。その違いを調べてみると、簡単には説明できない奥深い内容が分かってきました。
「賞状」という言葉には、広い意味(広義)と、限定的な意味(狭義)の2種類があります。
「表彰状」や「感謝状」、「証書」も広い意味(広義)では、「賞状」に含まれます。
この場合の「賞状」とは個人や団体へ贈られる、優れた成績や功績を称えたり、感謝の意を伝えたり、権利や事実を証明したりする書状のことをいいます。
一方、限定的な意味(狭義)では、「表彰状」との区別はあまり明確ではありません。
「賞状」の限定的な意味では、「表彰状」との明確な区別はないと説明しました。
では「賞状」と「表彰状」それぞれ辞書ではどのような意味が載っているのでしょうか。
■「賞状」
特にすぐれた行いがあった人や優秀な成績をあげた人に、それをほめたたえる言葉を書き記して与える書状。「—を授与する」
(出典:weblio辞書「賞状」)
■「表彰状」
表彰する旨を記した書面。表状。
(出典:weblio辞書「表彰状」)
■「表彰」
[名](スル)善行・功績などを人々の前に明らかにし、ほめたたえること。「永年勤続者を—する」「—状」「—台」
(出典:weblio辞書「表彰」)
「賞状」はほめたたえることを目的とした書状を指しています。それに対して「表彰状」は“表彰”することを目的とした書状を指しています。
「表彰」というのは、人々に知らせてほめたたえる、という意味があり、つまり「表彰状」は、ほめたたえることに加えて人々に知らせることを目的とされているのです。
・「賞状」→ほめたたえる書状
・「表彰状」→ほめたたえ、人々に知らせる書状
それぞれの言葉の意味と違いが分かりました。では「賞状」と「表彰状」はどのように区別されているでしょうか。確認してみましょう。
調べてみると一般的には上記のように分けると定義されることが多いようです。
一般的な区別について紹介しましたが、実際にはどうなのでしょうか。「社員の賞状を集めてみたイベント」で集まった「賞状」「表彰状」について、さらに分析してみることにしました。
分析方法は「賞状」と「表彰」で分けたあと、「優勝」や「優秀選手賞」、「敢闘賞」のような“賞タイトル”の有無で分け、下記5つの種類の賞状に振り分けました。
種類 | 賞タイトル | 成績順位 | 褒めている箇所 | 例 |
---|---|---|---|---|
a | あり | ある | 成績順位 | 「優勝」「第一位」「金賞」「最優秀賞」 |
b | あり | ない | 優秀な成績 | 「MVP」「入選」「佳作」「審査員賞」 |
c | あり | ない | 努力 | 「貢献賞」「敢闘賞」「がんばったで賞」 |
d | なし | - | 努力 | 永年の勤続や活動への賞、皆勤や精勤への賞 |
e | なし | - | 成果や成績 | 特別な戦績への賞、優れた作品への賞 |
「賞状」の区別分析 結果
「賞状」には、絵画や書道などのコンクール入賞やスポーツ大会の優勝などの“賞タイトルあり”が多い一方、“賞タイトルなし”で企業や習い事での皆勤や作品制作への努力を褒めるものもあり、一般的な区別と異なる側面も見受けられた。
「表彰状」の区別分析 結果
「表彰状」には、永年勤続や社会貢献を称えるものが多く、“賞タイトルなし”のものが目立つ一方、“賞タイトルあり”で成績順位がない絵画コンテストのものや、スポーツ大会や営業での成績順位があるものも含まれ、こちらも一般的な区別と異なる側面も見受けられた。
今回は「賞状」と「表彰状」の違いを紹介しました。
それぞれ上記のようにまとめられましたが、実際の賞状を調べてみると、確かに一般的な区別には近いものの、現状は徹底されていないということがわかりました。
「賞状」と「表彰状」の大きな違いは、贈られるシーンにあると思います。もしも賞状を作成する時に「賞状」と「表彰状」とで表記に迷った場合は、贈られるシーンで判断すると良いでしょう。大会やコンクールで贈る時は「賞状」、企業が社員の功績をほめたたえる時は「表彰状」というように分けてみると判断しやすいですね。
ぜひこれらを参考にしてみてください。
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