タカ印「賞状用紙」について

知っておくと使える豆知識

賞状用紙の発祥

中国の伝統が次々と日本に伝わってくる中、「賞状の発祥」もまた中国にあると言われ、皇帝が介する宮中における正式な人事発令や褒章に用いた書状や褒状の飾り縁に「鳳凰」の図柄が用いられていたものと、日本の宮中行事の神文に用いられていた「桐」とが合体したものが現在の賞状用紙のデザインの起源となったようです。
宮中など一部の公式行事に使用されていたものが、明治以降の近代に入って官公庁の正式行事に用いられ、次第に一般庶民にも使い伝えられるようになり現在に至っています。

賞状用紙の構成

賞状用紙の構成

(1)中央上部の雲状の図柄である「雲龍」
(2)その雲龍の左右に配図された一対の「鳳凰」
(3)下部から左右上部へと鳳凰に向かって伸びる「桐」

賞状用紙の構成の由来

なぜ「雲龍」なのか?
雲龍の画像

「雲龍」は、本来は雲と龍を合わせもって呼ばれますが、鳳凰と同様に四瑞の一つである龍とともに雨を呼ぶ幸運の雲で、その雲についても「雲龍」と言って尊ばれています。

なぜ「鳳凰」なのか?
鳳凰の画像

「鳳凰」は、古代より近世の中国における宮中行事において用いられた、非常に尊く大変目出たいとされた四瑞(龍・亀・麒麟・鳳凰)の一つで、聖徳の天子の兆しとして現れると伝えられる想像上の瑞鳥です。
夫婦仲が大変良く一生涯を連れ添うと言われ、雄を「鳳」、雌を「凰」と言い分け、夫婦あわせて鳳凰と呼ばれています。賞状用紙では、向かって左側の「鳳」と、右側の「凰」が向かい合っている形にデザインされています。

なぜ「桐」なのか?
桐の画像

「桐」は、原産国である中国では古来より「鳳凰が宿る尊い木」とされ、また「鳳凰は朝日を浴びた桐の葉の光に目覚める」とも言い伝えられています。
その幹は色白く伸縮や割裂などのくるいが少なく、吸湿度も低いことなども合わせもっていることから、尊く目出たい植物として日本に伝来し、菊とともに皇室の紋章ともなり、また神文(神への誓約書)にも用いられるようになりました。

なぜ賞状には句読点を付けないのか

その起源は、古来より日本で用いられていた毛筆を用いる文化に発祥し、宮中行事の神文・天皇や将軍の意向や決定を伝える下知(命令書)を初め、あらゆる書 きものの文面において句読点を付けない慣習があり、文脈が理解しがたい部分に限っては「字間を一字空けたり、改行していた」ことからきています。

明治時代に入って欧米の文化や習慣が次々と取り入れられ、あらゆる文面の書式においても欧文の句読点である「,(カンマ)」「.(ピリオド)」の導入が検 討された際や、その後において日本式の句読点である「、(点)」「。(丸)」が統一表記が決定された際にも、表彰状や感謝状の文言に限っては「本来は表彰 する相手を敬って手渡すものであり、従来付いていない句読点を改めて付けるということは相手を見下す(句読点を付けないと読めない)ことになって、表彰す る目的からはそぐわない」という理由から、以後も従来通り句読点は付けないことにしたという経緯があったようです。